2019年07月24日

土用の灸

土用の灸

2019年(令和元年)の夏の土用の丑の日は7月27日土曜日です。夏の土用の丑の日といえば現在は鰻が有名ですが、土用の灸はご存知でしょうか?

俳句の季語辞典を開くと「土用灸どようきゅう (夏の土用にすえる灸) 土用艾 土用の灸」と記載されています。昔の人は夏の土用の丑の日という一年で最も暑さが厳しいと言われる日に、健康を祈願してお灸を据えました。

さて、今年の夏はジメジメとした長い梅雨が開けた後、猛烈な暑さが来るという予報が出ています。このような急激な気温の変化は体の内部環境を司る自律神経に負担をかけ、内臓も弱らせます。体と心は不可分なので、体の中が弱ると今度は精神的にも参ってきてしまいます。こうしたときにこそ昔からの知恵である土用の灸、と言えそうです。

中の沢鍼灸院では夏の時期は消化器官を元気にする「胃の六つ灸」や足の三里の灸をお勧めしています。背中が張っていて内臓の疲れが出ているかな、という人は背部の左右三ヶ所ずつに灸を据える胃の六つ灸が特にお勧めです。灸点紙や焙烙(ほうろく、素焼きの皿)などを使い、火傷を作らず熱くなく、気持ちのいい土用灸を据えて差し上げます。ぜひご利用ください。

biwaset5.jpg
こちらは焙烙を利用したびわの葉灸

参考/『季寄せ』角川学芸出版
posted by 院長 at 22:19| お灸

2017年06月27日

びわの葉温灸始めました

 今年から自宅にあるびわの木の葉を使った「びわの葉温灸」を試験的に始めました。

 びわの葉温灸は、薬草としても知られるびわの葉の上に大きめのもぐさや棒灸などの熱源を載せ、その葉を介して温める間接灸法で、江戸時代から行われていたことが知られています。

 中の沢鍼灸院院ではびわの葉に直接もぐさや棒灸を当てるのではなく、葉の上に置いた素焼きか陶器の皿にもぐさを載せて行う方法で行っています。いわば、びわの葉温灸と「ほうろく灸」とのハイブリッド方式ですが、やけどの心配がないだけでなく熱感も調整しやすく棒灸で行うより広範囲に温かさを伝えることができます。


biwaleaf.jpg
当院で使用するびわの葉。左下は素焼きのほうろくに乗せた親指頭大のもぐさ

 びわの葉を凝りや緊張のある部位に乗せ、熱感調節のためにガーゼなどの布を敷き、さらにその上に親指ほどの大きさのもぐさを乗せた素焼きや陶器の皿を重ね、点火します。写真は腹部へのびわの葉温灸です。

biwaset1.jpg
biwaset2.jpg
biwaset3.jpg
biwaset4.jpg
biwaset5.jpg
母指頭大のもぐさは煙の量も多く赤々と燃えるため一見熱そうですが、びわの葉、布、ほうろくの上に乗っているため身体に伝わる熱感はかなりマイルドで気持ちのいいものになります。

 現在は治療の流れの中で背中・腹部などへの温灸として使うことが主ですが、広い範囲が程よく温まってリラックスできると好評です。

 このびわの葉温灸をここにやってほしい、多目に行ってほしいというリクエストにも可能な限りお答えしています。用意してある葉がなくなり次第終了となりますが、是非お試し下さい。
posted by 院長 at 20:45| お灸

2014年06月23日

お灸のもぐさ、何からできているかご存知ですか?

 お灸は「もぐさ」をツボの上で燃やして行う治療法ですが、そのもぐさというのは植物のヨモギの葉の裏にある白い綿毛のような毛茸(もうじょう)を集めたものです。

 写真を見れば一目瞭然ですが、表面ははっきりとした緑色であるのに対し、裏面は密生した毛茸のおかげで白くなっています。このヨモギ葉を乾燥させて粉砕し、ふるいにかけて葉の成分と分離させることで毛茸の集まり=もぐさを取り出すことができます。


ヨモギ葉:表
omote0.jpg

ヨモギ葉:裏
ura.jpg

ura2.jpg

 ヨモギは今の春から夏にかけての季節、道端などでもたくましく成長している姿を見ることができます。古くから魔よけのハーブとして用いられ、草餅などで食用としてもおなじみです。

michibata_yomogi.jpg



 お灸というのはこの身近にあって生命力旺盛なヨモギという植物から、力をもらう治療法だと言えるかもしれませんね。中の沢鍼灸院はシンボルマークにもこのヨモギの葉を使っています。お灸への思いをマークにも込めているのです。

nakanosawamark.png


posted by 院長 at 22:16| お灸